メッセージ

2001年5月 田中 洋(法政大学経営学部)

マーケティングとは
貨幣を介して行われる交換に伴う行為である。
それは
「需要者と供給者との間に起り得る問題を創造的に解決し、
長期的/継続的交換関係をつくりだすプロセス」
として 捉えることができる。

売る側と買う側との間には様々な問題が起る。
商品が店頭に並ばない、価格が適当ではない、
商品の知名度が低い、 買いたい品物がない、などである。
これらの問題を売る側から解決する過程が
マーケティングと考えることができるだろう。
売る側は継続的にある買い手たちと関係をつくりだしたいと願う。
それが近代的なマーケティングの根底にある考えである。

それではマーケティング論とは何を研究する学問なのか。
そこには「貨幣を介した長期的/継続的交換関係はいかにして可能か」という問が内包されている。つまりお金を介して行われる売り買いの長期的関係はどのようにしたら構築できるのか、という問がマーケティングにおける根底的な問なのである。

単に単発的な交換(=販売)や、貨幣を扱わない交換(例:人間間の交際)の問題は本来的なマーケティングの分野ではない。近似的にそれが可能であるとしても。
従って、マーケティングで我々が行う実務作業とは、この継続的交換関係の構築に向けた作業のひとつと理解することができる。
我々としてひとつだけ注意しておきたいのは、この関係構築の作業は必ずしも直接交換相手のことだけを考えてなされるわけではない、ということだ。
企業の内部をマーケティングの立場から統括することもマーケティングの大きな役割である。(戦略的マーケティングはこのことを強調した)

また、マーケティングを購買(ソーシング)や提携・企業買収の立場から見ることも必要になってくる。すべてのマーケティング研究のフォーカスはこの継続的な交換関係の創造と発展にあり、その本質を離れてマーケティングもマーケティング研究も存在しない。21世紀を迎えてこのことの意味はさらにはっきりしてくるはずである。

田中洋 中央大学ビジネススクール教授のオフィシャルサイト Marketing, Brand, Advertising