竹石 祐也(たけいし・ゆうや)

仕事:
(株)横浜銀行
法政大学大学院で学んだこと:
(1)素晴らしい先生・友人にめぐり合うことが出来たこと。
(2) “銀行”というところがいかに閉鎖的かということ。(笑)
(3) 先生方の講義から学ばせていただいた様々な知識も勿論ですが「いかに物事に対して論理的に考える(構築していく)か」ということです。とはいえ大変難しいですが… 
法政大学大学院に入ろう思った理由:
銀行(当行)に「マーケティング」という概念が存在しないと考えたこと。であれば、自分が何か出来ないかと大それたことを思ったこと。
法政大学大学院について:
社会人が学ぶことができる、素晴らしい環境だと思います。
今後、何をしたいか:
とにかく、勉強は続けていきたいです。修論のテーマについて、掘り下げて検討したいと思っています。
法政大学大学院を目指す人に:
“2足のわらじ”は大変ですが、だからこそ十分やりがいがあると思います。 また、(特に私はそうでしたが)今まで知りえなかった世界がそこにはあると思います。

修士論文

「富裕層の金融サービス意識・階層意識に関する実証研究」
~お金に対する意識尺度を用いて~

サマリー(論文要旨):
従来銀行が提供するサービス業務は、その業務の公共性・社会的使命から、また大蔵省主導による保護政策により、画一的、一律的なものでしかなかった。ところがバブル経済の崩壊後、日本においても英・米国に倣った金融ビッグバンが始まり、銀行業界に大きな変化が起こっている。海外銀行の進出、異業種からの銀行業務参入、今まで存在していた参入障壁が崩れ去った今、銀行業界は生き残りを賭けた激しい競争の時代に突入したといえるであろう。このような劇的な経営環境の変化の中で、リテール(個人取引)部門の強化が注目を浴びており、特に近年その収益性の高さから、いわゆる「富裕層」といわれる顧客層に対するアプローチが重要視されている。
本研究の目的はその「富裕層」特有の顧客属性を明らかにすることである。つまり、「富裕層」といわれる人々は、それ以外の人々(本研究においては「一般層」と呼ぶこととする)とは異なった特性を持つという前提で展開を行っている。また、既存研究において、顧客ロイヤリティと不満表明の関係性について既存の研究が行われているおり明らかにされていること、しかしながらサービスに対する不満表明は行われにくいということが指摘されていることから、銀行をはじめとする多くの民間機関で実施されている満足度を測定するのではなく、「顧客不満」という観点から、不満足度を測定しアプローチすることを試みた。
そして本研究においては、その「富裕層」固有の価値観や意識を明らかにすることをもう1つのテーマとし、「お金に対する意識」や「階層意識」に対し調査を行った。したがって、分析手法には因子分析を主に用いることとし、「富裕層」と「一般 層」との間に有意な差が認められるか検証している。この結果、大別すると

  1. 富裕層の階層意識の高さと差別化サービスへの期待の高さ
  2. メイン銀行に対するスイッチ意向度の低さ
  3. 富裕層のお金に対する現実的な意識
ということが分かった。検証の結果、一般顧客との間に注目すべき差異が認められたものであり、最終章において実務へのインプリケーションを検討した。

中央大学名誉教授。事業構想大学大学院客員教授、BBT大学院客員教授。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長などを歴任。田中洋教授オフィシャルサイト Marketing, Brand, Advertising