修論アドバイス(修了生篇)


このペ-ジは田中先生の勧めもあり、2期生の長崎が自分の修士論文作成経験を振り返り、研究への取り組みの仕方などを3期生以降の方々の参考になればと思い作成致したものです。
スケジュール以外の部分のコメントに関しては田中先生に頂いたアドバイスと自分の経験をもとに掲載致しました。

  • スケジュールについて
    (危険ですのでよい子は決して真似しないで下さい!)

    作業内容
    1999年1月 味の素へヒアリング。田中教授推薦書籍読破。 既存研究文献収集
    2月 参考文献情報収集
    3月 ネスレ日本(株)へヒアリング 実験方法文献収集
    4月 他大学の図書館へ参考文献収集
    5月 調査実験枠組み確立。中間報告会 引用文献打ち込み開始
    6月 プレリサーチ設計。実施
    7月 プレリサーチ集計。まとめ。修正検討 実験設計
    8月 田中教授渡米の間に夏合宿提出用レジュメ作成
    9月 法政大学にて実験1実施。集計 データ解析
    10月 実験2及び質問紙調査を実施。集計
    11月 引き続き集計。統計解析。論文作成 論文作成
    12月 論文作成
    2000年1月 修士論文提出
  • 質問紙調査、実験調査について
    本番で質問紙調査、実験調査を予定されている方は是非早いうちにプレリサーチを行って下さい。自分の質問のまずさで調査自体が無効になったり、どうにでも解釈できる回答が出てきたりすることを本番で回避することができると思います。
  • 実際の執筆活動について
    参考文献に使えそうなところは比較的早い時期から打ち込みを始めると後半楽になることがあると思います。
    これには実際の論文執筆時にそのまま引用できるという意味と、自分の頭を整理し、他の情報と結びつきやすくするという意味もあります。
    私はこれを出力して持ち歩き、余白に新しいアイデアを書き込んで使いました。
    実際に書き始めると、今まで調査した事や参考文献からの引用を多く載せたくなり、論文の焦点がぼけてしまうことがあります。
    とにかく「この章ではこれだけははっきりと説明する」という気持ちで焦点を絞りながら書くことをお勧めします。
  • その他
    いち早く研究の中心になる「問題点を見つけて下さい」自分では問題だと思っていても、既に他の人の研究では解決しているかもしれません。問題を見つけるということは、自分だけが分からないということではなくて、マーケティングの分野においてまだ十分な研究がなされていないということを意味します。その為には、自分の研究課題が本当に問題なのかを確認する為、既存研究を十分に調べる必要があります。
    とにかく自分の研究にとってキーとなるような論文を早く見つけて下さい。自分の研究における仮説実証の後押しになるものや、逆にその論文に不足している部分を自分の研究で指摘できるものを早く見つけることが、論旨を組みたてる上での近道となります。
    2週間に1度の指導時には必ず「研究目的」「研究方法」「現在での疑問点、問題点」をまとめてから指導に望んで下さい。研究が進めば進むほど、明らかになることも増えて行き、そしてやりたいことも増えてきます。指導前にもう一度自分の研究の目的は何なのかを確認することによって、方向性のぶれを少なくすることができると思います。
    田中先生を積極的に活用させてもらって下さい。とにかく1年の修士論文指導という時間は非常に短いものです。質問をする場合にも、自分でしっかりと質問の意図をまとめ、自分なりの話の方向性と結論をもって先生に相談することをお勧め致します。
    やりたいことから、やれることへの見極めも大切です。
    修士論文は限られた時間の中できちんとまとめることに意味があると思います。いつまでも方向性や結論が見出せない場合には「研究目的」「研究方法」の修正を考慮するべきだと思います。この見極めを誤ると、年末の論旨をまとめる段階にて相当の労力を必要とすることになってしまいます。(田中ゼミ1期生松本さんのご意見を参考にさせていただきました。)

以上、論文作成の貴重な時間を有効に使っていただく為の参考になればと思い、私の1年間の論文作成経験を振り返りコメントさせていただきました。
皆様のご健闘をお祈り致します。

2000年3月31日 田中ゼミ2期生 長崎秀俊

中央大学名誉教授。事業構想大学大学院客員教授、BBT大学院客員教授。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長などを歴任。田中洋教授オフィシャルサイト Marketing, Brand, Advertising