5.27 カジュアル情報篇

※このNY日記はもともと田中ゼミの学部ゼミ生のために書かれたものです。

先に書いたNY日記はかなり真面目?なものだったので、今回は追加としてもう少しカジュアルな情報を書きます。

食べ物

こちらでは私は自炊が主にしているので、それほど外食をしません。ひとりでレストランで食べるのは苦手なので、どうしても自炊になってしまいます。こちらの日本レストランでは結構ひとりで食事しているアメリカ人もいることに気づきます(割とそういうことが平気なんですね)。

日本食はこちらでは完全にアメリカ人の生活に入り込んでいて、私のホストプロフェッサーである、ホルブルック先生も週に寿司を2~3回食べ、毎日寿司でもいい、といっているほどです。(ちなみに私が若く見えるのは寿司を食べているせいではないか?とホルブルック先生は言うのですが、私は日本ではそんなに寿司は食べてません。)日本人よりも寿司をNYの人は食べているように私には思えます。ですから箸を使うのがお上手ですね~なんてお世辞はいまやアメリカ人には通じません。日本の若い人のほうがよほど箸の使い方は下手なのでは?(私も下手ですが)

コロンビア大学のビジネススクールのカフェテリアでも寿司をパックで売っています(そんなにおいしくないですけど)。ご承知のようにマクドナルドはこちらでも調子が悪く、健康に悪いというイメージが定着してしまっているようです。それで野菜がたっぷり、というベジバーガーを出しているのですが、一度だけ食べてみました。しかし野菜はほんの言い訳程度に入っているだけです。

 朝の食べ物でアメリカ人の定番のひとつはコーヒー&ドーナッツです。私の使うハリソン駅の近くにダンキンドーナッツがあり、ときどきそこでドーナッツを買ってから列車に乗ります。ミスタードーナッツは日本では成功して、ダンキンは撤退してしまいましたが、NYではミスドはほとんど見かけません。駅には別にキオスクなどはないのですが、朝だけ車でおじさんがパンやコーヒーを売っていて、それを朝に買うのは楽しみのひとつです。

 自炊など日本ではしたことがなかったのですが、みようみまねでやれば何とかなるということなんでしょうか。先日はカレーライスを作りました。なんとか自分で作る食事でサバイバルしています。

交通

列車といえば、私の住むハリソンを走っているのはメトロノースという私鉄会社です。当然鉄道という儲からない事業を支えるためにかなりの税金が費やされているものと思われます。NYはアメリカにしては珍しく電車が公共交通として発達しています。もちろん日本の比ではありませんが。

乗車賃はマンハッタンまでこの間上がって今は片道6ドルほどです。ただしPeakとOff-Peakの2種類があり、OFF-Peakのほうが安いのです。しかしPeakといっても、日本のように込み合うなんてことはなく、必ず座れます。日本人の人でひさしぶりに日本に行った人が関西で列車に乗ろうとして駅であまりに込み合っていたので、一本見送ればつぎに空いたのが来るだろうと思ったら次も込んでいたので、驚いた、といっていました。

メトロノースの駅はほとんど無人同様です。駅で改札などはなくて(もちろんSuicaなどはない!)、車両のなかに車掌さんが乗っていて、彼らが切符をいちいちチェックして廻ります。切符を出すと席の前に目印のポストイットみたいなものを貼ってくれてこれが切符を点検したというしるしになります。なかなか手間のかかることをやっているな~という感じがします。もっとも自動機械を導入するなんて投資はおそらく考えられないのでしょう。

NYの地下鉄は80年代ころまでは危険で汚いことで有名でした。しかし前のジリアーニ市長の改革以来相当きれいになり、安全になりました。(ちなみにこの間ジリアーニ元市長が入院していたときの看護婦さんと結婚<再々婚>したので、ニュース種になってました)ただこの間また値上げがあり、一回が2ドルになりました。それまでは1ドル半。NYの地下鉄はどこまで乗っても同じ値段なのです。

入場するとき今は磁気カードを入り口でカードスロットにすべらせて入る仕組み。ただいろんな人が乗っていますので、慣れていないと緊張します。地下鉄の中で突然乗客が「私はホームレスなのだが、寄付をしてくれないか!」と叫びだすことはよくあります。そういうとき、ある人は黙り込み目を瞑り、ある人は寄付をしてあげます。寄付をする人は意外に多く、ひとつの車両でひとりかふたりくらいはいます。そういうことがいいのか悪いのかはわかりませんが、そういうことが社会的に許容されていることは確かです。

また地下鉄の駅の中では、ストリートミュージシャンが音楽を鳴らしています。もちろんタダでしているわけではなく、チップを求めているわけです。どのくらい儲かるのはわかりませんが、いずれも下手ではありません。クラシックからヒップホップまで音楽の種類もさまざまです。こうしたストリートミュージシャンはあらかじめオーディションがあり、そこでパスした人だけが地下鉄で演奏することを認められるのだそうです。

そのほか

松井は健闘しているのですが、このところの不振でマスコミの扱いはかなり厳しいものがあります。監督にインタビューして「マツイはどうか?」と聞かれて「彼はまだ新しいので、われわれは辛抱強くしなければいけない」ということを言うと、キャスターが「われわれはもうそんなに辛抱強くできない」というようなことを言ってました。松井だけとりあげるということはそれだけ期待があるということでもありますが。もっともヤンキース全体の調子が悪いので、オーナー(ジアンビ氏)の機嫌が悪いのです。しかし松井も同じNYでがんばってるんだな~と思うと落ち込んだときはそれが励みになります。

こちらの学生はそれほど携帯電話をもっていません。正確に統計を取っているわけでないのですが、キャンパスでも誰も彼も携帯を使っている、というような風景はありません。もちろん近年かなり普及していることは間違いないのですが、日本のように親指でメールを送ったり、iモードでネットを見るなんてことはまだまだです。一昔前の分厚い携帯を見ることも珍しくありませんし、着信音は昔の単音のなつかしい?ものですし、画面もまだモノクロで当たり前です。こちらではAT&Tというアメリカでは第三位の携帯会社(20年前はNTTのような存在)ではドコモの技術を利用してm-modeというのを出していますが、ほとんど話題にもなっていません。

6.12 アメリカ社会における日本と日本人であること

中央大学名誉教授。事業構想大学大学院客員教授、BBT大学院客員教授。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長などを歴任。田中洋教授オフィシャルサイト Marketing, Brand, Advertising